日帰り手術について
日帰り手術では、皮膚に生じた病変の外科的処置を行っております。
当院で可能な日帰り手術の主な疾患を下記に挙げておきますので、こうした疾患にお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
粉瘤
粉瘤とは
粉瘤(ふんりゅう)は表皮嚢腫やアテローマとも呼ばれ、皮膚が毛穴の奥で内向きの袋を作ってしまう疾患です。初めのうちは米粒大ほどの小さな袋ですが、中に垢(角質)や皮脂などの老廃物が少しずつ溜まって次第に大きくなり、半球状のしこり(良性腫瘍)を形成します。中央部には、黒点状の皮膚開口部があります。強く圧迫すると、開口部から臭くてドロドロした膿のような内容物が排泄されるケースがあります。
粉瘤の生じる原因
粉瘤はいろいろな原因で生じると言われ、ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)感染による場合や外傷による場合などがあります。これらが原因となって、皮膚が皮膚の下で袋状に発達し、その内部に垢(角質)や皮脂が溜まっていき、次第に大きくなるのです。よく粉瘤のことを「脂肪の塊」と言う患者様がいらっしゃるのですが、内部に溜まっているのは脂肪ではありません。また、にきびとも異なります。
治療について
炎症を起こしていなければ外科的手術による除去になります。良性腫瘍ではありますが、腫瘍自体が大きくなったり、悪性化する可能性がある場合に除去します。巨大な粉瘤でなければ、局所麻酔で済みますので日帰り手術が可能です。また炎症を起こしている場合は、抗生物質の内服をしたり、また小さく切開して膿を出したりして、炎症を抑えてから局所麻酔下で粉瘤を袋ごと取り出す手術を行います。
手術後は、翌日傷の具合を確認し、1~2週間後に抜糸します。
日光角化症
日光角化症とは
日光角化症は高齢者に多く、老人性角化症とも呼ばれます。耳介を含めた顔面、髪の毛の抜けた頭部(禿頭部)、手背などに1個から数個できる皮膚病変です。淡い紅色ないし紅褐色で、盛り上がりがなく、表面はザラザラしたもの、盛り上がったいぼ状、角状(皮角)のものなどがあります。大きなものは直径1~2cmにもなります。痛みや痒みなどの自覚症状は、ほとんどありません。
日光角化症は皮膚がんの一種である有棘細胞癌の表皮内癌(癌の細胞が皮膚の表皮にとどまっている状態)です。日光角化症の癌細胞が表皮を越えて広がっていく危険性は報告により異なりますが、数%~20%程度とされ、一般に10年以上を要します。癌細胞が表皮を越えて広がっていくと病変が急に大きくなったり、表面がじくじくしてきたりすることが多く、また絶えずかさぶたができたり、皮膚の深いところまでかたくなったりします。大きくなってからは治療が困難になりますので、日光角化症は早期に発見して治療を行う必要があります。
診断が困難な場合は、病変部の一部を切り取って顕微鏡による病理検査をして診断することがあります。
治療について
完全に切り取る切除手術が根治的な治療で、一定範囲内にたくさんできているときは一括して切除し、植皮して傷を治します。ただ顔面や頭部に生じることが多く、多発していることも少なくないため、術後の傷痕など見た目の問題から、まずは保存的な治療が選択されることが多くなっています。
保存的治療は、液体窒素によって腫瘍細胞を凍結壊死(えし)させる方法(凍結療法)やイミキモドという塗り薬を使用する方法などがあります。
巻き爪
巻き爪とは
巻き爪とは、足の指にある爪の両端の先端部が、大きく内側に湾曲した状態を言います。負担のかかりやすい親指の爪が巻き爪になることが多いのですが、その他の指の爪もなることがあります。
巻き爪が進行すると、肉の部分に曲がった爪がどんどん食い込んでいき、次第に激しい痛みを引き起こすようになります。この状態を「陥入爪」と言います。さらには曲がった爪に巻き込まれた皮膚が化膿してしまい、歩くことが困難になる場合さえあります。
また、巻き爪の痛みから足をかばおうと、いつもとは違った歩き方をしてしまうために、足首や膝、腰にも負担がかかり、捻挫や膝痛、腰痛の原因になるケースもあります。
巻き爪は見た目が悪くなってしまうだけのことだなどと侮らず、きちんと治療することが大切です。
巻き爪(陥入爪)の治療法
巻き爪(陥入爪)の治療法には、「手術療法」と「保存療法」の2種類があります。
実際に診察して、治療にかかる期間などについてもよくお話ししながら、患者さんに合った治療法をご提案いたします。
手術療法
陥入爪手術
手術療法は局所麻酔をした上で、周囲の皮膚に食い込んだ爪を除去する方法です。
部分抜爪
局所麻酔をした上で食い込んでいる爪を取り除く方法です。痛みはすぐになくなります。腫れが十分に引けば爪が伸びても食い込みませんが、人によっては再び爪が食い込む可能性もあります。再発する場合には別の治療が必要になります。
爪が食い込んで周囲に炎症を強く生じ、肉芽腫(にくげしゅ、傷口に生じるじくじくしたできものの一種のこと)を生じている場合に有効な治療法です。副作用としては再発することがある、しばらく血がでることです。費用は3割負担で5000円程度です。
フェノール法
食い込んでいる爪を取り除きます。その上で取り除いた爪の根元をフェノールという薬品で処置し、その部分の爪が生えてこないようにします。手術後には爪の幅が狭くなります。その後は2、3回くらい受診する必要があります。確実に爪の食い込みがとれる利点があります。健康保険の対象にもなっています。
費用は3割負担で10000円程度です。副作用、欠点としては爪の形が変わってやや細長い爪になります。
保存療法
テーピング法
軽度の巻き爪であれば、テーピング法を行います。
巻き爪を起こした指の皮膚をテープで引っ張り、爪の食い込みを軽減します。これだけでも、ある程度の痛みはやわらぎますが、効果があるのは軽度の巻き爪の場合に限られます。
巻き爪マイスター
当院では、テーピングをし、爪を伸ばして頂いても痛みがあった場合の矯正法として、巻き爪マイスターの施術を行っております。
巻き爪マイスターは、コイルばねに内蔵された超弾性合金ワイヤの弾性力によって巻き爪を矯正する医療機器です。過度に湾曲した爪を自然な形に直していけます。治療期間に関しては、爪の状態によって個人差がありますが、通常は数か月の到着で巻き爪が改善します。
また、巻き爪マイスターは様々な症例に対応できますが、爪の状態によっては治療できないこともあります。
巻き爪マイスターは特定保険医療材料ではないため、医療保険が適用されません。
そのため、全額自費負担となります。費用は1か所につき7000円(税込み)となります。